ピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんと関係があります
ヘリコバクター・ピロリ菌は特殊な酵素により胃の中で生存できる細菌です。日本での感染者は6000万人といわれ、若年者では比較的少ないものの、60歳以上では7割程度の方が感染しています。
5歳ぐらいまでに主に口から感染し、胃の粘膜に持続的な炎症をもたらし慢性胃炎を引き起こします。その結果、胃潰瘍や十二指腸潰瘍ができたり、さらには胃癌が発生する危険性が高まります。ピロリ菌に感染していない胃から癌はほとんど発生しないのですが、感染した胃の場合は年間約0.5%程度の確率で癌が発生するといわれています。
原因であるピロリ菌を除去すると、癌の発生を抑制できる可能性があります。
2013年2月より慢性胃炎に対するピロリ菌除菌療法が保険適用となりました。
これまでは胃潰瘍、十二指腸潰瘍や癌の治療後、リンパ腫などの病気がある方のみ、保険での除菌が可能でした。今後は内視鏡で慢性胃炎を確認し、感染検査でピロリ菌陽性と診断された場合に保険診療にて除菌療法が可能となりました。
除菌療法は胃酸を抑える薬と2種類の抗生剤を7日間内服します。これで7割の方が除菌できます。除菌できない場合は抗生剤の種類を変更して同様に内服していただきます。2回の除菌療法で9割の方が除菌可能です。除菌療法を行いピロリ菌が除去された後も内視鏡による定期的な検査を継続することが必要です。
あくまでも癌の発生を1/3程度に抑制するのであり、絶対に癌が発生しないわけではありません。
当院ではピロリ菌感染症認定医が、内視鏡での慢性胃炎の診断、ピロリ菌感染診断を行い、適切な除菌療法、効果判定、経過観察を行っていきます。ご不明な点があれば、ささいなことでも構いませんのでなんでもご相談ください。
経鼻内視鏡検査
(胃内視鏡検査)